競馬場放浪記

海外競馬場を訪問した記録を書き留めていきます

モンテリーコ競馬場を行く(ペルー/リマ)

記念すべき初回の投稿は、2022年12月26日に訪れたペルーの首都、リマに位置するモンテリーコ競馬場(Hipódromo de Monterrico)である。マチュピチュを訪問した際にリマで1日暇をつぶさなければならないということで、ふと思い立ちモンテリーコ競馬場に行くこととなった。

 

しかし、とにかく情報がない。

 

ネットで調べてみても、wikipediaの日本語のページに木金土日に開催されているという情報と訪問記が数個ある程度。私の場合は、運よく一緒に旅をしていた友人がスペイン語に堪能だったため、詳しい情報を調べてもらうことができ、その日競馬がやってるぞということで、訪問を決定。

モンテリーコ競馬場のホームページはこちらだ。スペイン語しかないが、カレンダーがあるためなんとか開催日程くらいはわかるだろう。カレンダーを見る限り主に金土日で開催されているようで、まあ要するに週末開催である。

hipodromodemonterrico.com.pe

スペイン語Wikipediaをみると、それなりに情報がそろっていたため、以下翻訳した情報をまとめる。ここモンテリーコ競馬場は1951年に建設が計画され、1960年12月18日に記念すべき最初のレースが行われた。8,000人を収容できるスタンドがあり、コースは左回りで、ダート1周1,800m、芝1周1,600m。ダート芝ともに直線1,000mのレースが開催される。厩舎には1,400頭を超えるサラブレッドが飼育されており、その他の競馬にかかわる団体の事務所もこの競馬場に設置されている。とのことである。あくまでもWikipediaで、さらにそれを翻訳にかけた情報であるため、適当にふーんといった程度に思っていてほしい。

es.wikipedia.org

 

さて、前置きはここまでにしよう。モンテリーコ競馬場はリマの郊外に位置しており、付近には大使館があったりと、おそらく駐在員などの比較的お金を持っている人が住むエリアにあると思われる。名前はわからないが、このエリアを歩く人は見るからに身なりがきれいで、また白人の割合も高く感じた。ペルーの資本が海外に握られている一面を見たような気がしてなんとも言えない気持ちになったのを覚えている。

話を戻すと、モンテリーコ競馬場は空の玄関であるホルヘ・チャベス国際空港からは車で40分ほど、Uberを使って70ソル(2,500円)ほどだった。市街からバスで行く方法もあり、その場合おそらく数百円で行けるようだ。私たちはペルーのUberの安さにかまけて楽な方を選んだが、リマの治安はすこぶる悪いわけでもなさそうなのでまた行くことがあれば公共交通機関も試してみたい。

 

さて、リマの秩序のない道路を潜り抜けて競馬場に到着すると、古びた建物が待ち受ける。引きの写真を撮っていなかったので少々アップしすぎの写真で失礼する。この日は特に大きいレースもなかったからか入り口にスタッフなどもおらず、自由に出入りできそうな感じである。入場料がかからない点はありがたい。

駐車場に面する入口

中へ進むと、通路の右手に事務所や救護室が並んでいる。ごらんの通りドレスコードなどは存在しない。馬主席はさすがにドレスコードがあるようだが、まあよほどのことがない限り読者の方々には関係ないだろう。階段の踊り場には過去活躍した馬の写真が飾られているが、どうもペルー競馬に関係ないものもあり、選定の基準は謎である。

 

階段をあがると、すかすかのフロアに馬券売り場がある。すべて有人で、窓口でかけ方、買い目、金額を伝えてレシートのような馬券を発見してもらう。いろいろな競馬場の訪問記を眺めているとどの国もレシートのような紙切れを発券しており、日本の新幹線の乗車券のようなしっかりとした馬券というのは意外と珍しいのかもしれない。

場内には平日午後のわりには人がいたように思う。ざっと200人くらいだろうか。まあ一国の首都の競馬場と考えると少ない気もするがこんなもんだろう。客層は日本の地方競馬と同じで、まさに鉄火場という雰囲気。競馬場に流れる空気はどこも似たり寄ったりなんだなと感慨深いものがある。

この写真の左手に小さな売店があり、そこで飲み物とパンくらいの軽食は売られていた。食堂のようなものはないため、昼食は済ませていくことをオススメする。

 

そしてこちらがホームストレッチである。このときはブログを書くことなんて想定していなかったため、適当に撮った写真で勘弁願いたい。ちなみに、ゴール板付近に設置されているロンジン製のアナログ時計は10分ほど時刻がずれているのだが、これで大丈夫なのだろうか。時計左手に設置されている塔のようなものには、4着までの着順が表示されるようになっていた。一応6着まで表示できるようだが、おそらく四連単が発売されている関係で4着までしか示されないのだろう。スタンド正面には小さめのモニターがある。ガサガサの画質だが、展開把握に問題はない。

iPhoneのパノラマで撮った写真

着順掲示板と時刻のずれた時計

 

こちらがパドック、というより通路といったほうがいいだろうか。一応、轍があり、そこを周回するようになっている。方向は日本と同じく反時計回り。

黄色いゼッケンの馬がいるあたりのちょっとした芝生がウィナーズサークルだ。関係者の人の格好もだいぶラフである。Tシャツを着ている人もいるし、もしかすると関係者でもドレスコードなんてものは存在していないのかもしれない。

パドック


プログラムは2ソルだったか2ドルだったかそれくらいだった気がする。このプログラムに馬番や斤量等から編集者からの人気といった情報が詰まっているため、しっかり予想したいなら買わない手はないだろう。もちろん中身はスペイン語である。編集者の人気という項目は、馬の名前の横に書かれている数字が編集者からの投票数を表しており、15人ほどの編集者が投票しているからある程度ばらつきもあり、情報のない中で非常に役に立った。ペルー競馬で迷ったらとりあえず編集者からの投票が最も多い馬から押さえておけば間違いない。(後日プログラムの写真も追加しようと思う)

とりあえず単勝馬券を購入し観戦。写真に写っているGanadorというのは単勝を意味する。レースによって発売される馬券の種類が異なるようで、プログラムを見て確認しなければならない。この日はメインらしきレースでのみ4連単が発売されていた。窓口で買い目と馬番だけをスペイン語で伝えた後にお金を差し出せ、何とか馬券を購入した。馬連あたりは気合でなんとかやるしかない。特に順番が重要な3連単を買いたい方は頑張ってください。もし馬券が的中したら、次のレースが始まる前までに払戻しをしないといけないので要注意だ。

馬場から振り返ってみると意外と大きなスタンドである。ちなみに喫煙所なんてものはないから、みんな思い思いに好きなタイミング、場所でたばこを吸っている。喫煙者には朗報だろう。とはいえ、日本と違い街中でも路上喫煙は禁止されていないからこの競馬場特有というわけではない。

この日は、直線1,000mダートも開催されていた。直線で1,000mといえばアイビスサマーダッシュだが、ダートでというのは日本ではお目にかかれないのではないだろうか。総じてアメリカなんかでありがちな強い馬が最初から押し切る競馬が多く、実力が拮抗している場合には外差しが決まっていたように思うが、しょせんは40ソルほど負けた者の戯言であるし、いかんせんデータがないからよくわからない。まあ外差しというよりかは、先行が垂れてきただけという可能性のほうが大きい気もする。

動画のスクショ①

動画のスクショ②

ちなみに馬券売り場の近くでは、オッズやアメリカ等の競馬場が中継されている。その上にはなぜか馬に交じってコービーの写真が。写真右端に縦書きでsimulcastingと書かれているが、これは英語で同時中継を意味する。アメリカ競馬場のスケジュール等を見ていると、simulcastingあるいはsimulcastと書かれていることがあるが、これは中継のみの馬券発売という意味である。その競馬場でレースが見たかったらlive racingなどと書かれている日を探さないといけない。

競馬場から外に出ると、たまたまちゃんとしたパドックを見つけたが、今は使われていなさそうだった。芝は手入れされてそうなことから、もしかするとダービーなどの大きなレースでは使われているのかもしれない。

と、モンテリコ競馬場については以上だ。日本からリマへ行くためには北アメリカのどこかで乗り換えなければならず、なかなか行きづらい場所にあるが、筆者のようにマチュピチュに行った帰りにでも寄り道してみるのもいいだろう。